片恋煩い

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そういえば前に有村が言ってたっけ。 “父親より過保護な時があるよ” 保護者の感覚なのかと思っていたが全然違う。 独占欲が強いだけだ。 「何だよ、笑って」 「いえ……」 年上で落ち着いていて、多少の物事には動じない。 先生の事をそんな風に見ていたけれど。 「大変だなと思って」 心のどこかで安心したのは、思っていた以上に有村を大切にしていると分かったからだろうか。 「見透かしたように言うんじゃねぇ」 むすっとした表情のまま、先生は俺に尋ねる。 「不動、彼女は?」 「秘密です」 飄々と答える俺に、先生は案の定不満そうに俺を見た。
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