片恋煩い

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「お待たせ!」 荷物を置いてきて身軽になった有村が息を切らせながら走ってきた。 「これ、チラシとチケット。良かったら来てね」 「ん、わかった。ありがとな」 受け取って日付を確認する。 バイトのシフト、入れないようにしねぇと。 「じゃ、帰るわ」 「うん、送ってくれてありがとう」 「気をつけて帰れよ」 先生の表情はすでにいつも通りにこやか。 どちらも素なんだろうな。 有村が絡むと気が気じゃないだけで。 「はい、先生も頑張って下さい」 有村の顔に?が浮かび、先生は笑みを浮かべながらも若干頬をひきつらせた。 「有村もまたな」 ひらりと手を振って駅の方面へ歩き出す。 「(からかい過ぎたかな)」 そう思ったが、少し位ならバチは当たらないだろう。 有村の気持ちは先生にしか向いていないし。 ちらりと振り返ると、笑い合っている二人の姿が目に入った。 「(仲睦まじいことで)」 有村が幸せならそれでいい。 唇の端を上げ、正面を向いて1歩踏み出した。 【片恋煩い Fin】
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