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2度目の一目惚れ
「(きっつー……)」
早朝の人身事故は私の通学時間帯まで影響を及ぼしていた。
いつもはもう少し余裕があるのだが、電車の中は鮨詰め状態。
扉の近くにいられるだけマシだと思うしかない。
「(着く頃には1限終わってるよね……)」
溜め息をついていると、腰に何か当たった気がした。
ちらりと後ろを見ても何もない。
誰かの鞄か腕が当たったのだろう。
まぁ私みたいに凹凸の少ない身体を触ろうなんて思う人はいないし。
気を取り直して流れる風景をぼんやりと眺めていると。
また……当たった。
「(何……)」
少し身を捩るが、それはぴたっとくっついたまま。
瞬時にぞわっと鳥肌が立つ。
「(これ……痴漢……?)」
隙間なんてあまりなかったが、逃げるように扉の方に身体を寄せた。
それが自らの首を締める行為になるとは露知らず。
「!!」
後ろに立っていた人が更に密着してくる。
それと同時に、お尻に押し付けられていたのが掌だと動きでわかった。
「(っ……!)」
恐怖で身体が固まる。
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