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「(あれから5年……か)」
駅の改札を出ながら空を仰ぐ。
日が長くなったな、なんてぼんやりと考えていたら腕に何か当たった。
「あ、悪い」
悠一が肩に掛けていた鞄を自身に寄せる。
どうやら当たったのは鞄から突き出ていた卒業証書を入れた丸筒らしい。
「なぁ、これってどうしてる?」
「卒業証書か?まぁ捨てはしないから保管してあるんだろうけど……」
家じゃ見たことねぇな、と首を捻った。
どこも似たようなものか。
俺も帰宅して母親に渡したら、その後は見る事はないだろう。
「ねぇねぇ、私本屋に寄ってくから」
花音が振り返りながら本屋を指差す。
「あ、俺も」
花音の隣に歩み出た悠一。
「んー、私は帰るわ。夜は久し振りに家族が揃うし」
“陽人は?”と琴子の視線が俺に向けられる。
「俺も帰るよ」
それじゃあ、と俺と琴子は駅に背を向けて歩き出した。
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