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「卒業したらそれぞれ別れちゃうけど、こういう関係をこれからも続けていけたらいいわね」
「(こういう関係……か)」
風が頬を撫でる。
ひんやりとした冷たさの中にも春の暖かさを感じた。
4月になれば全員が違う大学に進み、新たな環境での生活が始まる。
バンド活動はもう出来ないだろう。
頻繁に会う事だって難しい。
それでも繋がっていたい気持ちは皆同じだ。
けれど俺は今までと同じだなんて満足出来ないし、したくなかった。
「……この関係……壊していい?」
立ち止まって琴子を見据える。
「どういう事?」
ずっと変わらない真っ直ぐな視線。
物怖じしない、いつも飾らない琴子。
「……好きだよ」
5年間、想い続けたこの気持ち。
「中学の時からずっと好きだった」
振られても後悔しない。
好きになれて良かったと、自信を持って言えるから。
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