3845人が本棚に入れています
本棚に追加
目的も何もよくわからないそのメールには、地図が添付されていた。拡大してみると、都内にあるマンション名のところにマークが付いていた。
白石のマンションに監禁されたばかりだった透は一瞬不安になったのだが、二宮が指定する場所ならそう危ない場所ではないだろうと信じて、放課後一度自宅に戻って私服に着替えてから、地図に記された住所に向かった。
そこに建っていたのは、白石の自宅より更に大きなマンションだった。パッと見ただけでも、二十階くらいはあるんじゃないだろうか。
白石が『隠れ家』として使っていたマンションはどちらかというと単身者向け、という雰囲気だったが、こちらは完全にファミリー層向けだろうと思えるくらいの広さがあるのは、外観からも見て取れた。
どうして急にこんな場所へ呼び出されたのだろう……。
やっぱり少しの緊張と不安を覚えながら、エントランスホールに設置されたパネルに、二宮から指定された部屋番号を入力して、呼び出しボタンを押した。
『……はい』
少し間を置いてスピーカーから聞こえてきた気怠げな声に、透は返事も忘れて目を見開いた。
短い返事からでも充分わかる。それは、聞き慣れた喜多川の声だった。
『ンだよ、悪戯か? ふざけんな───』
「き、喜多川……!」
最初のコメントを投稿しよう!