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「クソ野郎って……白石先輩のこと?」
「夏休み中も委員会とか、正気かよ」
「別に白石先輩と二人だけってわけじゃないし……っていうかそもそも喜多川も実行委員だよね!? 喜多川が夏休みに委員会なんか出てくれるわけないから、俺が一人で行ってるんですけど!?」
「だから馬鹿なんだよ、お前」
「なにそれ理不尽……!」
結局いつものようなやり取りになってしまったものの、以前と同じように喜多川に口付けられた項だけが異様に熱い。
αとΩが番うとき、その証を刻む場所。噛み付かれればそれで番の関係が成立してしまうが、敢えてそこに口付けだけを残されると、却って意識してしまう。
『マーキング』なんて、白石は言っていたけれど……。
「……あのさ。さっきの、前もしてくれたよね?」
「あ?」
ここ、と透は自分の項を軽く擦る。
「白石先輩の家から帰るとき。これってどういう───」
「『数学18点』って書いた」
「嘘ばっか! ていうか何で点数まで知ってるわけ!?」
「『俺以外触んな』って書いた」
「だからそういうの───…………え?」
不意打ちで寄越された言葉がすぐには理解出来なくて、呆然と喜多川の顔を見上げる。花火の音で、耳がおかしくなってしまったんじゃないかと思った。
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