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「今、なんて……」
「さぁな。つーか、今日は先に仕掛けたの、お前だろ」
「先?」
「クソ真面目そうな顔して寝込み襲いやがって、エロ眼鏡」
「エロ……って、起きてたなら言ってよ……!」
てっきり熟睡していると思っていたのに、本人に気付かれていたことを知ってカッと顔が熱くなる。赤くなった顔が、フィナーレで立て続けに打ち上げられる花火に照らされて、一層恥ずかしくなった。
───顔が熱いのは、恥ずかしいからだけじゃない。
喜多川が初めて、透への想いを口にしてくれたからだ。
「花火も終わったし、寝るわ」
フワ…、と欠伸を零しながら、喜多川が室内へ引き返す。「待って!」と、透も慌てて追いかけてその背中にしがみ付いた。
「今日、泊まってもいい?」
「……俺朝帰りだっつっただろ。今日くらいベッドで寝かせろよ」
「ベッドでいいよ。……だから、喜多川と一緒に寝たい」
喜多川の背に張り付いたまま訴えた透に、呆れた溜息が返ってくる。
くるりと振り向いた喜多川の腕が強引に透の身体を引き剥がしたかと思うと、額にデコピンが飛んできた。
「いたっ」
「どんだけ馬鹿だよ。一緒に寝るって、どういうことかわかってんのか」
「どういうって……?」
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