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喜多川の眉間の皺がたちまち深くなったので、透は慌てて首を振った。
「あ、いや……眼鏡でいいです、ハイ……」
これ以上機嫌を損ねられては困るので、ここは大人しく引き下がることにする。
呼ばれ方はともかく、ここへきてやっと喜多川が「しつこい」と感じるくらいには、透の存在を認識してくれるようになったことは素直に嬉しかった。そんなことで喜んでいる場合じゃないし、自分はどこまでお手軽なんだと呆れる気持ちもあったが、それでも透にとってこれはとても大きな進歩だ。
白石みたいに人当たりの良いαならともかく、喜多川のような周囲にまったく無関心なαに、Ωである自分が認めてもらえるなんて思わなかったから。
「しつこくても、参加してもらわないと困るから」
「勝手に押し付けられたモンなんか、知らねぇっつってんだろ」
「だからそれは喜多川が寝てたからだよ……。それに、他のクラスの実行委員はみんなちゃんと参加してるし……」
「なら一人くらい欠けても問題ねぇだろ」
「そういうことじゃないんだってば……!」
喜多川に認識されていたことを喜んだのも束の間。実行委員に関しては、まったく取り付く島もない。
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