戦国

2/10
前へ
/90ページ
次へ
秀吉は永住の獣のような獰猛さと相反する端正な顔立ちを、大いに気に入る。そして、殺さずに説き伏せて小姓として迎えたのだった。 戦の世では彼の戦闘力は重宝されて、メキメキと頭角を現す。しかし、その才能がのちに災いをもたらす事となる。 主君である羽柴秀吉が天下統一を果たすと、人を殺める事でしか必要とされず、好戦的な永住は煙たがれるようになっていった。 それでも秀吉は彼を使って一揆や謀反を鎮圧、その度に永住は慈悲の心も無く何千者の命を奪い続けた。 そんな彼に危険を感じた石田三成(イシダミツナリ)は秀吉の知らぬところで彼に無実の罪を着せて罪人とし、無きものにしようと暗殺部隊を仕向けた。 それを事前に察知した永住は、暗殺部隊を壊滅させて逃亡する。 数年後。とある村で名を変えて妻をめとり、今までにない平穏な日々を送っていた永住。だが、たまたま村を襲った盗賊団を壊滅させた事から、三成に居場所を知られることとなる。 三成は早急に軍を派遣、永住を急襲。逃走中に妻を殺された永住は怒り狂い、血塗れになりながらも軍を撃退した。 この騒動を耳にした秀吉は、彼が徳川方に付くのを恐れ、更なる軍を派遣した。その数2000、天下人となった秀吉でさえも、永住の戦闘の才能を恐れたのだった。 2000人対1人、結果は明らかだった。それでも永住は逃げることなく、待ち伏せして戦った。     
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加