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戦いは1時間以上続き、豊臣方が兵の半分を失ったところで永住は捕縛される。
その時の彼は自分と殺した人間の血で、真っ赤に染まっていた。
出世欲の強かった川上治正(カワカミハルマサ)は、大将である榊氏家(サカキウジイエ)の目前で永住の首を跳ねて手柄を立てようと本陣へ連行した。
しかし、本陣に到着した途端に永住は手品のように縄を外し、素手で氏家に襲いかかった。氏家は刀を抜いて応戦しようとするが、逆に永住に刀を奪ばわれて首を斬り裂かれてしまった。
大将を殺された軍は統率力と同時に闘争心を失い、恐怖で動けなくなる。それに気づいた永住は氏家の首を奪って兵士に投げつけた後、その場を去った。
副将である氏家の息子、氏直(ウジナオ)は、取り逃がした罪による切腹を恐れて暴挙に走る。自分の身を守るために罪のない民の首を斬り取ると、顔の判断がつかないようにズタズタに斬り裂いて、偽物を作ったのだ。
後に大阪城へ帰還した氏直は、
「討ち死にした父である氏家に代わり永住が首、氏直が取って参りました!」
と秀吉の前で豪語したのである。秀吉は氏直の言う事を疑わずに大いに喜んだが、三成は信じずに捜索の手を緩める事はなかった。
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