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言われるがままに袋を開けて見た時、三成は涙が溢れそうになる。
「これは・・・、家康の・・・」
「そうだ、家康の首だ。オレが家康を殺して首を取ったんだ」
その言葉に、三成は疑問が浮かんだ。
「家康の首を取ったのに、軍は一時も乱れる事はなかった。ならば私は誰と戦っていたんだ?」
永住は笑みを浮かべて、
「影武者だよ、三成。影武者の家康が、お前よりも優秀であったんだ」
と答えた。
「馬鹿な!」
三成は涙を垂らして地面を殴り、腸が煮え繰り返すほどに悔しがった。
数分後、泣き止んだ三成は姿勢を正して永住に頭を下げた。
「永住、頼みがある」
「何だ?」
「今一度、秀吉様・・・、いや、秀頼様のために戦ってはくれぬか?」
永住は笑って答える。
「諦めん男だな」
「ならば・・・」
「断る。お前も秀吉も、このオレを殺そうとしたのだぞ。そんな奴等のために、何故オレが戦う必要があるのだ?それに家康の首を取った時点で、秀吉に対する恩は返しただろう。違うか?」
三成は目を瞑り、深く考えた後に笑った。
「そうだな、お主の言う通りだ。ならば私の首を跳ねよ、永住。これでお前の復讐も終わるだろう」
「いや、首は取らん。ここで首を取れば、お前の思惑通りとなる。だから三成、お前の死に場所はオレが決めてやろう」
「なるほど。それがお主の復讐か?」
「そうだ」
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