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「良いだろう」
三成は立ち上がると、死に向かって歩きだした。その後を追うように、永住は歩いた。
敵方に捕まるのを恐れて山道を歩かずに、山を越えるのは過酷で険しいものだった。
それでも豊臣再興のために自分が生きねばという想いが、三成の足をつき動かした。
山頂まで到達すると、三成は身体を休めるために木にもたれて座り込み、水筒を取り出して水を飲んだ。
その後、永住に水筒を差し出す。
「お主も飲め」
「オレには必要ないから、自分自身のためにも取っておけ」
「何故だ?主も渇いたであろう」
「オレの喉は渇かぬし、腹も減らん」
「どういう事だ?」
「オレは不死身になったから必要ないのだ」
「不死身・・・不老不死か?」
真剣な眼差しで言ってくる三成を見て、永住は大きく笑った。
「こんな馬鹿な話を信じるのか、三成。相変わらず、クソ真面目な男だ」
「当然、信じるに決まっておろう。現にお主はあの頃のまま、年を取っておらぬ。ところで、どうやってそのような力を手に入れたのだ?」
「さあな」
2人が会話をしていると落武者狩りをしていた農民10人が突如現れて、竹槍が永住の腹を貫いた。
「殺ったぞ。これはオレの手柄だ!」
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