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農民の1人が喜んだのも束の間、永住は竹槍を抜いて逆に突き刺した。
「ギャアアアアアアア・・・・」
悲鳴が山々にこだまする。永住は他の農民も次々と槍で串刺し、絶命させた。三成は相変わらずの勇猛さと残虐性に恐怖を抱きつつも感謝した。
そして、永住の傷口を見て驚愕した。さっきまで血塗れだった右腹は傷口が塞がって、出血が止まっていたのだ。
「便利な身体だのう、永住」
「本気でそう思うか、三成」
その問い掛けに、三成は首を横に振った。
「いや、武士として死がないのは不憫でならぬ」
「だろうな」
2人が再び歩きだそうとした時、甲冑を身に纏った1人の男が現れた。
「三成様、私は田中吉正様(タナカヨシマサ)の使いで参った、相楽良美(サガラヨシミネ)と申す者です。三成様をお迎えにまえられました。大人しく捕まって頂きたい!」
「田中殿の使いか」
「はい。この山は完全に包囲されております。殿は他の者に無下に殺される事を望んではおりませぬ。どうか、どうか我等に捕まって山を下りて下さい!」
三成は答えを求めるように、永住を見た。
「もう戦は終わりだ、三成。大人しく捕まるが良い。そこがお前の死場所だ」
永住の言葉に三成は決心を固め、
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