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「相楽殿、お主の指示に従おう。代わりと言えた身分ではないが、この男への手出しは止めて頂きたい」
と言って頭を下げた。
良美は迷い無く了承する。こうして三成は、抵抗する事なく吉正の軍に捕縛された。
去り際、三成は永住に向かって、
「永住、さらばだ。ただ願いが叶うならお主に首を斬られたかった・・・」
と言い残した。その言葉に、永住は少しだけ心が痛むのを感じた。
10日ほど経った頃。捕縛された三成は反逆罪として市中をたらい回しさせられた挙げ句、京都にて斬首を命じられた。
斬首当日、三成は覚悟を決めて座り、無念の気持ちから俯いた。その時、
「思いの外元気そうだな、三成」
と懐かしい声が聴こえたので、自分の首を斬るであろう男を見上げた。
「・・・永住・・・なのか?」
口元を黒い頭巾で覆っているため、顔がしっかり判別できない。しかし、三成には見えていた。
「永住、来てくれたんだな」
「ああ、国を真っ二つにして戦をやり、多くの仲間を犠牲にしてまでも生にしがみついて信念を曲げなかった男がどんな最期を送るか、どんな顔をして最期を迎えるのか見物したくてな。ついでに、お前の首はオレが取ってやる事にした」
三成は笑う。
「有り難き幸せ。頼む、永住」
「うむ、何か言い残す事はないか?」
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