1 季節と煙

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1 季節と煙

 1    古いビルの最上階にある、四畳ぐらいの窓のない喫煙室。  換気の具合は、いつもよくない。そして、蛍光灯はいつも眩しいぐらいに光っている。  そこに六人が立っていた。  同僚も上司もみんなそこにいる。ただ目も合わせないし、口も開かない。みんな、白いシャツの上に黒いスーツを着て、革靴を履いていた。  その中の一人。瀬木根(せきね)という。あごが細くて?に肉がない。頭からつま先まで、やせ細った男だった。ネクタイはしていない。  タールが増えた。先週ぐらいか、はっきりとは覚えてはいない。吸った瞬間、口に悪いものをふくんだとはっきりとわかる。でももう、悪い気はしない。しょうがないと思うのだった。タールが増えたのは後輩の吸っていたものを一本もらって、そっちに変えたからだった。    六人で一つのチームだった。  最近の案件はちょっと重すぎる。最終的には自分で選んだわけだが、さすがに疲れる。というより、疲れた。さっきので大きな山は抜けたのだ。    使ってもいい、天子(てんし)と呼ばれる人間の体を借りて、自分の体のように扱う。そして、その天子の体が使い物にならなくなったら、接続を切る。そしたら、元に戻ってくる。     
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