0人が本棚に入れています
本棚に追加
/189ページ
1 季節と煙
1
古いビルの最上階にある、四畳ぐらいの窓のない喫煙室。
換気の具合は、いつもよくない。そして、蛍光灯はいつも眩しいぐらいに光っている。
そこに六人が立っていた。
同僚も上司もみんなそこにいる。ただ目も合わせないし、口も開かない。みんな、白いシャツの上に黒いスーツを着て、革靴を履いていた。
その中の一人。瀬木根という。あごが細くて?に肉がない。頭からつま先まで、やせ細った男だった。ネクタイはしていない。
タールが増えた。先週ぐらいか、はっきりとは覚えてはいない。吸った瞬間、口に悪いものをふくんだとはっきりとわかる。でももう、悪い気はしない。しょうがないと思うのだった。タールが増えたのは後輩の吸っていたものを一本もらって、そっちに変えたからだった。
六人で一つのチームだった。
最近の案件はちょっと重すぎる。最終的には自分で選んだわけだが、さすがに疲れる。というより、疲れた。さっきので大きな山は抜けたのだ。
使ってもいい、天子と呼ばれる人間の体を借りて、自分の体のように扱う。そして、その天子の体が使い物にならなくなったら、接続を切る。そしたら、元に戻ってくる。
最初のコメントを投稿しよう!