1 季節と煙

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 隠れているわけではなかった。とりあえず、一度ログアウトするために、潜っただけだ。 「いくか」  自称、死神の鎌。人の頭ぐらいの大きさの灰色の毛玉が、言った。理屈はよくわからないが、こいつが力をかしてくれる。死神一人に、一匹という感じだった。グレイという名前らしい。自分で名づけたのか、命名されたのかは、知らない。  くっついてきて、自分たちの補助をしてくれる役目。そういう生き物、または毛玉。瀬木根はそういうふうにだけ、考えるようにしていた。  偉そうに、のこのことグレイが出ていった。  瞬間、爆撃された。 「馬鹿」  空中で、瀬木根は叫んだ。 「勝手に動くなって言ってるだろ、なんでわざわざお前が出ていくんだよ」  一緒に、グレイも吹っ飛ばされていた。 「痛いよー」  喋っているグレイの頭を掴む。それで、一時的に能力を得る。それで現世の規則を、無視できる。  空中で、瀬木根は完全に静止した。  撃ってきた敵の死神。勝てばいい。今はそれだけだった。  赤羽の方が、先に動いた。瀬木根も続く。別の方向へ飛んだ。  倍近い人数がいる。撃つより、殴るか、蹴るか、斬るか。そっちの方が早い場合も多い。単純といえば単純だ。  この与えられた能力は、死神によって違う。  よくある世界で、よくあるシナリオだ。     
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