1 季節と煙

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 でも、違う部分もある。  お前らとは背負ってるものが、全然違う。  コンクリートの分厚い壁。その向こうの、自動販売機。そこに背中を当てていた敵。まとめて、拳一つで粉々にした。  だから、生きてる理由が違う。戦う理由が違う。覚悟が違う。そう思えたら、こんな第二の人生も悪くないのかもな。あいにく俺はからっぽで、その上わけわかんねえことであっさり死んだ馬鹿だ。背負うものも、なんも見つかる前に死んだ。感覚としては、もうこっちの世界で生きている方が長く感じるぐらいだ。  音を立てて崩れたがれきが、動きを止めた。それでなんの音もしなくなった。うしろをみると、赤羽もすべて片づけてしまっていた。 「よし、進むぞ」 「ちょっと待ってください、今いきますから」  赤羽が能力を解除して、横に並んだ。  グレイはいつも歩かず、空を飛ぶ。いまも瀬木根の上を、ふわふわと漂っていた。多分、半分眠っている。いつものことだった。    運命を定める場所。それが、ここだという。正と負の運命が、常にせめぎ合って、時は成り、そして進む。点だと思ったそれが、実は球体だった。神から話を聞いたときは、そんな感覚になった。目には見えないが、想像はできた。     
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