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(そうだ。このものを俺のものにしてしまえば、すべては解決するのではないか)
退治をせずに、自分のものとしてしまえば、これだけの肉体を持っているのだ。塩室の人々の役に立たせることもできる。栴檀の魔羅法師は彼を自分のものにすることが、使命を全うするのに最上だと思い極めた。
男はちょっと考えてから、腰に巻いている布を外した。きっちりと締められている下帯があらわになり、股間の盛り上がりが栴檀の魔羅法師の真上に来た。彼はゴクリと喉を鳴らして、それを見上げた。下帯の端から、わずかに黒々とした縮れ毛がはみ出ている。引っ張り出したい衝動を堪えて、栴檀の魔羅法師は息をひそめていた。
男は広げた布の上に、舟の上にあるものをすっかり乗せて包んでしまった。栴檀の魔羅法師は縄の隙間に身を潜めて、荷物に紛れて男に担がれた。目の前に男のうなじが見える。癖のある黒い髪は、肩にかかるかかからないかの長さで、櫛を一度も通したことがないのではと思うほど、ボサボサしていた。その隙間から垣間見える首筋に噛みつきたい衝動をこらえて、栴檀の魔羅法師は彼のねぐらに運ばれていった。
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