佐伯

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佐伯

「世の中を変えたいとは思わないのか?」  志子田勇一は口癖のように言っていた。  シコタユウイチ。  面白い名前だ。  志子田とは子供の頃、将棋クラブで一緒だった。  さすが、東大に行く奴は言うことが違う。  俺は女子のケツばっかり見ていたし、世の中のことよりサッカーに夢中だった。 「シコシコ、どうでもいいけど獲っちゃうよ?」 「そのシコシコってのやめてくれへんか?うわっ!頓死かよ?」  頓死とは本来は詰まなかった玉が、逃げ方を間違うなどして詰まされることだ。  旅館の窓から舞鶴港が見える。  鴎が低空飛行している。 「bad・breathがしてるな?」  俺は美奈から教わった《汚い英語》を思い出した。さぁ?スマホのまえの君?分かるかな?  ヒントは、○○便所だ。 「ひでぇな?おまえだってチーズみたいだぞ?」  志子田が憤慨する。 「かんにんやで?刺さないでください」
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