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「だけど、決して相容れない。アイツらは全部忘れて、俺は全部覚えてる。絶対に交われないし交わらない。同情はしない。共感もしない。でも……理解はできる。俺の中にあるものと、あいつらの中にあるものは同じだってな」 「……」 「正反対。でも背中合わせ。閻魔の奴はそう言ってたかな」  こんな死神が、いたんだと。  ナオは改めて目を見張るしかなかった。  沢山の信念を、語った言葉を、教わりながらここまで来たけれど。  まさか、己と流離う魂を重ねる死神がいるなんて、有り得ないとさえ言いたくなる。  だが、否定の言葉は一つとして浮かばなかった。訊きたかったのは。 「それでも……斬るんですか」 「当然だろ。だって、俺はどうあっても、結局は死神よ?」  はは、となんでもない口調で、草吾は笑う。 「それが仕事だ」  何度も、聞いた言葉だった。幾人から聞かされた言葉でもある――四方木草吾は死神だ、と。 「行きつく先が破滅であっても、人は時に変化を選ぶ。その先に何があるかなんて、未来は読めないから誰にも分からない」  所願の果てなのか、やむにやまれぬ事だったのか。経緯は疾うに時の流れに呑まれた後だ。けれど選ばれた過去につながった今が目の前にあり、時が戻らないように、後ろには進めないようになっている。  たどり着いた先が、死にきれない闇ならば。  過去はどうであれ、いまは死神――神と呼ばれる端くれなのだから。
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