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さっきからネットが繋がりにくいと思っていたのだが、どうやら気のせいではないようだ。
職場の同僚から届いたラインも時差が生じている。
「4Gの方も電波が悪くなってる気がするんですけど……」
そう言うと、翔も頷く。
「メール送信できないわ」
「マジ!?」
緋浦も運転しながら顔をしかめた。
医師である緋浦にとって、携帯は大事な連絡手段だ。今の時代、PHSなど持っている人も少ないし、こんな電波障害が起こるとは思ってもいない。
「でもまあ…こんな状況じゃオペもできないしね。今は重症患者も抱えてないし、大丈夫かな……」
少し不安そうにそうつぶやきながら、緋浦は信号の点いていない道路で、慎重に車を走らせた。
「コンビニ寄ってく?私が買ってきた水とかお菓子じゃ物足りないでしょ?」
緋浦は砂川から札幌に来る道中、コンビニで水やカップ麺、お菓子などを買ってきてくれた。
緋浦好みの食べ物はすでに完売していて、買えたのは残り物だったようだ。
ドリンクストッカーに並んでいた飲み物も、ほとんどが炭酸水で、冷蔵機能が停止していたため、すでに温くなっていたという。
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