ブラックアウト

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窓の外の様子を窺うと、どこもかしこも真っ暗で、同じ階の一番端の部屋の家族と、2階のおばあちゃんが大きな声で話しているのが聞こえた。 「電気点かないしさ、ラジオがどこに在るかも分からなくて」 「テレビ点かないから状況が分からないんだよねー」 どちらも同じような事を言っている。 携帯には職場の同僚からラインが入っていた。 『大丈夫?』 『今コンビニにいるんだけど、ヤバいよー』 『信号点いてない(笑)』 いや…夜中の3時にいったい何やってるんだ?…と、心の中で思いながら、彩香は届いたラインに返信する。 正直、一時的な停電だと思っていたが、それは恐ろしく長く続く夜だった。 スマートフォンは充電してあったから、まだしばらくは持ちそうだ。モバイルバッテリーもフル充電のまま通勤用のバッグの中に入っているし、確か食べ物も、ライトミールやお菓子、カップ麺もあった気がする。 ガスコンロもつい最近、ようやく買ったものがあるし……。
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