君を殺す誰か ～愛憎の花束～

ブラックアウト

ふと、玄関に調子の悪いライトがある事を思い出し、携帯のライトを照らしながら、それを取りに向かった。

その小さなライトは、もともとは明るくて使い勝手が良かったのだが、接触が悪いのか、急に明るさが変わる。

光が弱くなったり、強くなったり、消えたりもする。

しかし、無いよりもマシだと思い、それを持ってキッチンへ向かった。

スリッパを履き、割れ物を踏まないようにすり足で前へ進む。

とにかく水道が出るのか確認したかった。

水道のレバーを下げると水は問題なく出た。

あとはガスが使えるかどうかだ。
ガス特有の臭いがしないところを見るとガス漏れはしていないようだが、この散らかった状況でガスを使うのは怖い。だからその場は確認するのを諦めた。

冷蔵庫は一人暮らし用の小さなものだ。
まずはそれを起して蓋を閉めないと、この停電がいつまで続くか分からない以上、冷気はできるだけ逃したくない。

なんとか冷蔵庫を起こすと、キッチン棚にセットされている吊り下げフックに懐中電灯を引っ掛け、冷蔵庫の中を片付け始めた。

もともとあまり入っていない冷蔵庫だ。冷茶と牛乳が少しこぼれていたが、それほど被害も無い。

冷凍庫にはいっぱい物が詰まっている。保存が利く冷凍室はかなり大事にしている。

主に肉や魚を冷凍しているから、しばらくは保冷剤代わりにつかえそうだ。

夜中だというのに少し部屋を片付けると、明日の仕事が気になって、スマホで無料インターネットテレビアプリをダウンロードし、テレビを見始めた。