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『彩香。今、俺に何か出来る事は無いですか?言いたいことでも構いません』
訊かれて、彩香は目を見開いた。
その瞬間、目尻から涙が流れ落ちる。
『なんでもいいです。俺に直して欲しいところでも、今まで秘密にしてたことでも…何でもいいです。言ってみてください』
──今、言いたい事……?
そんなの、きっと普段の彩香なら『無い』と言うだろう。
だけど今日だけは少し違う。
胸の中にあるモヤモヤが喉元までこみ上げている。
ただ…不安で、
怖くて……。
震える口唇で…かすれた声でつぶやくと、野本は、
『ん?もう一度言ってください』
と、言ってくる。
ただ、その声に甘えたい……。
「そばに…いて欲しいです……」
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