記憶旅行

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「あれ?兄貴じゃん」 リビングから顔を出した翔が、野本を見て声を上げた。 「翔…お前、なんでここにいるんだ?」 野本も驚いて頬を引きつらせている。 「だって、うち、オール電化じゃん。なんもできないし飯も食えないし、彩さんち行ってご飯食べさせてもらったんだけどさ、その後神藤先生の家に行くって言うから」 「だからってフツーついていかないだろ……」 野本は大きなため息を吐きながら家に上がり、彩香の頭を撫でる。 人の目など気にならないのは、昔から注目を集めてきたからだろうか。弟の前でも野本は彩香に甘い。 「翔くんのお兄さんが来てるの?」 翔の背後から真帆がひょっこり顔を覗かせると、彩香の頭を撫でているその姿を見て目を見開く。 「お…兄さんなの?」 そのルックスに見とれ、言葉を失っているようだ。
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