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つまり、会えないと言っているのだろうか。
「今、どういう状況ですか?」
『北海道全体が停電してます。情報が混乱しているので俺も詳しい事は分かりませんが、復旧するのがいつかも分かりません。市内で断水が起きている地区もあります。信号も点いていないので、あまり出歩かないようにしてください』
そう言ったかと思うと、野本は声を潜め言ってくる。
『コンビニやスーパーの前ですでに客が並んで列ができてます。彩香の自宅には緊急時の食料品や水はありますか?』
「あ、はい…少しなら。今日か明日はしのげそうですけど…長引く感じですか?」
『何とも言えません。俺なら自宅でじっとしてたいところですが、断水してしまうと飲み物も無いし、携帯のバッテリーも持たないですからね。みんな電池とかモバイルバッテリー、食料を求めて並んでいるようです』
停電の上、断水してしまったらかなりきつい事になる。
幸い、彩香の家は水も出るし、ポータブルのガスコンロもあるから、切羽詰まった状態でもないのだが、冷蔵庫の中身がいつまでもつかは分からない。
「とりあえずガスコンロもあるので、数日は持つと思います。私の事は心配しないでください。それより、野本さんこそしっかり食べて、体調を気遣ってくださいね」
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