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『分かりました。無事で…安心した……。すぐに電話できなくてすみません。またしばらく電話できないと思いますが、何かあったら連絡ください』
それだけ言うと野本は電話を切った。
「こんな時間にコンビニに列……?」
普段頭の切れる彩香でもピンとこなかったのは、生活スタイルの違いがあるからだろう。
彩香の活動時間は実に一般的な、太陽が昇って太陽が沈むまでなのだ。
早朝から出勤する人々の生活には疎かった。
また立ち上がって外の様子を窺う。
薄っすらと明るくなってきた空。
もう一度、携帯で時計を確認すると、彩香は父である神藤司に電話し始めた。
数回のコール音の後、神藤は電話に出た。
「お父さん?怪我、ない?」
訊くと、
『彩香は大丈夫か?怪我は無いのか?』
と、質問に答えることもなく言ってくる。
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