記憶旅行

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記憶旅行

電話の直後、家のインターフォンが鳴って、登季子さんに大声で呼ばれた彩香は階段を駆け下りた。 数秒前まで電話で話していたはずの人が、なぜか玄関にいる。 「外から電話してたんですか……?」 そう訊くと、野本は僅かに微笑んだ。 いつだって欲しいものをくれる人……。 いつだって彩香に甘くて、何よりも優先してくれる人……。 「30分しか…時間が無いんです。すぐに戻らなくてはいけなくて」 野本はそう言いながら、首を傾げる。 「入ってもいいですか?」 訊かれて初めて、彩香は頷いた。
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