今日、おれは恋人に振られた

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今日、おれは恋人に振られた。 それはもう、晴天の霹靂というやつで、恋人の「他に好きな人ができた。」というお決まりのセリフも、ただ茫然と聞いていて、その音は右から左に素通りしてしまっていた。 どうしていいのか分からずにただオロオロしていると、話はそれで終了とばかりに恋人は去っていった。 確かに、最近お互いに仕事が忙しく、ほとんど会う事は無かった。だけど、一言いって、それでもう別れた形が成立するなんて、それはあんまりじゃないか。 だからと言って、大の男が往来で泣くことも叫ぶこともできず、ただ恋人の姿を呆然と見送るしかなかった。 「帰ろっか。」 ポツリといってから歩き始める。 ここがどこでこれから何をしなければいけないのかよく分からない。 それでも、癖の様に電車に乗って自宅のアパートがある最寄りの駅について、それから駅前の牛丼屋で牛丼を買った。 食欲はなかったけれど、何か食べないと明日会社だから。それだけだった。 真っ暗で冷え切ったアパートにたどり着いた。 ローテーブルの上に置いてある、リモコンでテレビをつけた。とてもじゃないけれど一人の静かな部屋で居られる気がしなかった。 明かりは付ける気にはなれなかった。 牛丼の蓋を開けて、割り箸を割ってただただかきこむ。 涙が溢れた。 塩辛くなった牛丼を半ば意地の様に食べる。 「ふぅ、ぐっ……。」 好きだったんだ。 好きで好きで好きで、ただひたすらあの人のことが好きだった。 味もよく分からない牛丼を無理矢理喉に押し込んで、ただ流れる涙をどうすることもできなかった。 了
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