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死体屋の話
本垢で没作品としてあげてたやつ。
冒頭のみ。
あまり気分のいい話じゃありません。
恋人が病気とかで死にそうで、もし死んだら自分が付き合える別の人間に角膜etcを(違法)移植したい狂った人とかを書きたくて、まず前提の遺体を荼毘に付さない為の仲介屋キャラの話をと思って書いたものです。
***
日本には、火葬許可証と埋葬許可証というものがある。
人が死ぬと、死亡届けが医師によって書かれ、それと火葬許可証を持って火葬場に行くのだ。
そこで、ポンとハンコを一つつくとそれが埋葬許可証になる。
実際に火葬したか、確認する人間なんていないよ。
骨だって、こんなところに回される人間だ。大体は寺の片隅で無縁仏として一緒くただ。
だから、有効利用だと俺は思っているよ。
世の中には死体を必要としている人間は多い。
死体が欲しいって人間と死体、それの橋渡しをしているだけだよ。
それで、誰かが不幸になったか?
なってなんかいないんだよ。
移植用に使ってるのか、替え玉用なのか、それとも愛好家の手に渡っているのか。
それは知らない。
俺は、ただ、火葬許可証の表書きを一人歩きさせているだけだ。
ほら、今日も、仲介屋を通して一人の客が来た。
「いらっしゃいませ。
このたびはお悔やみ申し上げます。」
挨拶は決まってこれだ。
さて、お客様は死体を売りたいのですか?買いたいのですか?
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