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ウェディングドレスを着てみたいと思ったことは無かったのに
※嫁BLは書店に置かないとかいうのを見て、書いた冒頭
自分が選んだ相手と結婚することは無いのだと知っていた。
だけど、こんなにも急に、まるで厄介者を追い払う様にすべてが決まってから伝えられて、そうする他ないのだと言われるとは思っていなかった。
その相手が男で、形式上自分が妻として……、女として嫁がないといけないと聞いた時には絶句した。
「あくまでも、形式だ。」
そう父は淡々と話していたが、嫁入りしてすぐに婚姻の儀をしなくてはいけないらしくウェディングドレスを着る様に言われた時には「は?」という乾いた声とひきつった表情しかできなかった。
相手は隣国の第七王子だ。この国でもはやにっちもさっちもいかなくなってしまったわが家が援助を受ける代わりに、古くから続く我が国との縁をあちらは得る。糞みたいな取引だ。
その糞みたいな取引に俺と俺の“旦那様”は巻き込まれるのだ。
コルセットというやつがこんなにも苦しい品物だなんて一生知りたくは無かった。
男としては細いほうなのかもしれないが、間違っても女性に見られることの無い容姿だ。
「化粧もしますか?」
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