習わし

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かおるは集落の皆に見送られ、旅立った。 最初の頃は良かったが、陽が出てくると途端に辛くなった。 原因は白無垢だ。 夜は冷えた躰を温めてくれたが、陽が出ると暑くて汗ばんでしまう。 そして何より重い。 白無垢に苦しみ、慣れない草履に足を痛めながら、かおるは神殿を目指した。 時折小川で水を飲み、痛めた足を冷やしながら、日没前に神殿についた。 神殿と言っても、人が3~4人入れる程度の大きさで、木造建てのそれは、真っ黒く塗りつぶされている。 禍々しく小さな神殿に目を疑ったが、疲れきったかおるは別の建物を探す気にもなれず、神殿の戸を叩いた。
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