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マリアを、笑うな。
ある日、小さな賞が話題になった。
有名な画家が年齢制限なしで年に一度、開催している絵画のコンクールだった。
海外で個展を開いたり、絵画教室をしている美しい女性が主催するコンテストで、小さな賞だが評価が高く注目されている。
審査員は、その画家である女性一人。
最年少でその賞を録ったのは幼い少女。
美しい女性が剣を握り、子ども達を庇う場景だった。
絵のタイトルは「聖母マリア」
清らかなイメージを冒涜すると、信仰に厚い人々は彼女を罵った。
人々がその少女に抱いていたイメージは、僻み嫉妬から産み出されるもので、作り上げられていた。
SNSもしていない少女の、偽りの情報は拡散されていく。
生意気、根暗、引きこもり、屁理屈、
頭がイカれた少女だと、騒ぐ人までいた。
けれど、実際は……。
授賞式に現れた少女は、とても賢く聡明そうな顔つきに、綺麗な長い髪。
利口で大人びた顔つきと口調。真っ赤なワンピースは、皆が振り返る程に鮮やかだった。
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