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勇者様は頭がおかしい。 何故か僕みたいなスライムを飼っているのだ。 まず、それだけでおかしい。 そもそも、僕みたいなモンスターは食用にならない。主に、嬲り殺されるために存在するような種族だ。 といっても、とにかく数が多い。見かけ上は町の近くの林などには溢れんばかりにいる。それが僕たちスライムなのだ。 そんな、僕もとある冒険者パーティーに群れごと襲われていた。 銀色に光る剣に右半身を抉られた。 スライムは消化器官が外側に出ていてその上がプルプルとした粘液で覆われている。 すんでのところで避けられて、剣にえぐられたのは粘液と消化器官の一部でその中にある脳等の生死にかかわる器官のダメージは避けられたと思う。 だけど、その命は風前の灯だ。 周りでは、仲間が次々と切られ内臓をぶちまけていた。 ピギィーーという警戒音を口から発した。 普段は人間に似た言葉を話す事が多いが近くにいる仲間に知らせるにはこちらの方が広範囲に通じる。 「おいおい、仲間を呼ぶなよ。大した経験値にならないのに面倒だな。」 パーティの魔導士らしい男が吐き捨てる様に言ったのが聞こえた。 終わりだと思った。 一巻の終わりだ。 仲間は来ない。来てもきっと殺される。     
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