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気持ちをしっかり持っていなければ、暗い深淵の底に引きずり込まれてしまいそうだ。綾樹への想いを抱えていながら、佐藤なんかの手で淫らに変化してしまうのは絶対に嫌だ。
言い知れぬ恐怖が桜井を支配する。桜井の心の奥にしまっている綾樹への気持ちが踏みにじられてしまう。
(堕ちるな。私は。私は綾樹のことが……)
桜井のすべてを自由にしていいのは綾樹だけなのだ。
そんな現実、ありえないとしても。
そんな幸せ、絶対に来ないのだとわかっていても。
「これは愛あるセックスなんかじゃないんだぜ? おまえは俺にレイプされようとしてるんだ。 ほら、あいつに『助けて』って言ってみろよ」
佐藤の舌が桜井の耳を軽く噛む。その刺激だけで桜井の秘蕾が花咲こうと疼きだす。
だがこの男に沈むわけにはいかない。
綾樹のことが、好きなのだ。
「いや……です」
佐藤は「ふうん」とつまらなさそうに呟きながら、桜井がこぼす蜜を指に取った。
「じゃあ、せいぜいいい声を聴かせな」
佐藤は桜井の脚の間に自分の身体を割り込ませ、桜井のひくつくアヌスがよく見えるように、脚を拓かせた。
そこをじっと見る佐藤の目が、まるで舌のようにも思える。恥ずかしいのに、淫蕾をねっとりと舐められているような感覚を覚え、興奮が高まっていくのを抑えられない。
見られているだけなのに……気持ちいい。
「いい格好だ。そそるね」
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