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上質なスーツがよく似合っていて、写真を見るたび、その姿に陶然とし、息が止まりそうになる。
桜井のスマートフォンに入っている、大切な綾樹の写真。
「昔は好きな子の写真はロケットに入れていたもんだが、時代が変わればツールも変わるんだな」
「あなたという人は、人のスマホまで勝手に」
取り返そうとするより早く、佐藤がひょいとスマホを取り上げる。
「これはお預けだ」
桜井の一番ナイーブなところまで引っ掻き回す気なのか。知っているだけに余計に腹立たしくなる。
――だったら、佐藤の望み通りにさせてやる。
首だけ回して背後の佐藤をきつく睨みつけた。
「あなたは私に……ここまで…させたんです。私を満足させなければ、承知しませんよ……」
男が「ああ、わかっている」と歪に嗤う。
はやく貫いてほしい。激しく犯してほしい。
佐藤の余裕すらじれったい。
「早く……」
我慢できずに挿入をせがめば、背後で男が声を殺して愉しげに笑う。
「さあ、始めようか?」
もうなんでもよかった。こんなに淫らに煽られて、ここでやめられたら気が狂うかもしれない。
粉々に壊してほしかった。
貪婪な身体も。綾樹へと惑い彷徨う恋情も。なにもかも。
桜井の中についに男が入りこんでくる。
「ん、ああっ!」
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