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「そんなゴミみるような目で見るなよ。一時は俺たち、大の仲良しだったじゃないか。毎晩、真剣に愛し合った」 「勘違いしないでください。私たちはただ、日々の鬱憤を互いの身体で晴らしていただけのこと。あれはただのストレス解消に過ぎない」 「ああそうだな。おまえは俺を通して、新城の幻影に抱かれた。おまえが妄想した世界で性欲を満たした。そういうことだもんな」 「下品な物言いも相変わらずで安心しました」  頭の奥で脈打つような鈍い痛みが響く。ついでに吐き気までしてきた。長旅で疲れているだけではないだろう。  体調不良の原因は間違いなく、目の前の男だ。  このまま踵を返して帰りたいところだが、まだ用件が終わっていない。短時間で切り上げようと、気持ちを切り替える。  この男に関わっていると、精神衛生上もきっと良くない。心も身体も不快感に塗れ、急激に重苦しくなる。  桜井が掛けているチタンフレームの眼鏡(リンドバーグ)すら、重みに耐えかねているのか、ずり落ちてくる始末だ。  桜井は人差し指で眼鏡のブリッジをくいと上げ、わざとらしくため息をつきながら、ソファーに座った。 「で、結果を伺いましょうか? 私は忙しいんです。すぐにでも東京に戻らないと」 「そんなに新城のそばが恋しいかね」     
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