レッドカード!

2/4
前へ
/4ページ
次へ
 負けた!  ぼろ負けだ。  私は思わず天を仰いで。「いく~。負けちゃったよ……」と、サポーター友達のゆっこがわなわなと震えて、拳を握りしめている  サッカーの全日本リーグに参戦する獅々田ホワイトナイツを応援しているんだけど。どうにも苦戦が続き。  どうにか這い上がろうとするけど、あがけどあがけど功を奏さず。  今日の試合に負け、最終節を待たずして、最下位が決まった……。  午後二時に始まった試合。透き通るような青空のもと始まった試合だったけど、終盤になって空は曇り。泣き出すような雨が降ってもおかしくないほどに雲が空を覆った。  暗雲立ち込めるとはまさにこのこと。  観客はやってられないとピッチから目をそらし、渋い顔をして足早に立ち去ってゆく。その一方で、 「なにやってんだよーホームだぞ!」 「金払わせてそれかよー」 「そんなに降格してーのかよー」 「この、○×▽△□◇!」  野次を飛ばすサポーターたち。中にはとても聞いてられないような言葉まで飛ぶ。  試合後、観客席に挨拶に来た選手たちはうなだれて、自分たちにぶつけられる野次を黙って、耐えて聞いていた。  その一方で、対戦相手のアウェーの虎野チャリオッツは選手とサポーター一体となって勝利の喜びを爆発させて、ラインダンスを踊っていた。  そのコントラストはあまりにも強烈。 「馬鹿野郎! やる気ないならやめちまえ!」  友達のゆっこまでもが、他のサポーターと一緒になって野次を飛ばす。私は思わず目をそらし、耳をふさいだ。 「降格だぞ降格!」  降格という言葉が幾度となく繰り返される。サッカークラブにとって降格は屈辱的なことだった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加