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負けた!
ぼろ負けだ。
私は思わず天を仰いで。「いく~。負けちゃったよ……」と、サポーター友達のゆっこがわなわなと震えて、拳を握りしめている
サッカーの全日本リーグに参戦する獅々田ホワイトナイツを応援しているんだけど。どうにも苦戦が続き。
どうにか這い上がろうとするけど、あがけどあがけど功を奏さず。
今日の試合に負け、最終節を待たずして、最下位が決まった……。
午後二時に始まった試合。透き通るような青空のもと始まった試合だったけど、終盤になって空は曇り。泣き出すような雨が降ってもおかしくないほどに雲が空を覆った。
暗雲立ち込めるとはまさにこのこと。
観客はやってられないとピッチから目をそらし、渋い顔をして足早に立ち去ってゆく。その一方で、
「なにやってんだよーホームだぞ!」
「金払わせてそれかよー」
「そんなに降格してーのかよー」
「この、○×▽△□◇!」
野次を飛ばすサポーターたち。中にはとても聞いてられないような言葉まで飛ぶ。
試合後、観客席に挨拶に来た選手たちはうなだれて、自分たちにぶつけられる野次を黙って、耐えて聞いていた。
その一方で、対戦相手のアウェーの虎野チャリオッツは選手とサポーター一体となって勝利の喜びを爆発させて、ラインダンスを踊っていた。
そのコントラストはあまりにも強烈。
「馬鹿野郎! やる気ないならやめちまえ!」
友達のゆっこまでもが、他のサポーターと一緒になって野次を飛ばす。私は思わず目をそらし、耳をふさいだ。
「降格だぞ降格!」
降格という言葉が幾度となく繰り返される。サッカークラブにとって降格は屈辱的なことだった。
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