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達哉はアルバムを捨てた。
あの嫌な想い出を振り切るためだ。
中学時代にいい想い出はない。
毎日殴られていた。
写真を見るたびに嫌な思いになる。
だから捨てた。
ムカつく奴の写真を針で突き刺して捨てた。
だけど、好きな子の写真もなくなってしまった。
紅中学校の将棋部で青春時代を共に過ごした仲間たち。そして卒業から3年後。
あの日幼かった僕たちは18になった。
恩師(将棋部監督)の葬儀をきっかけに再会するが、新しい生活と年月による思想の変化を実感。同時に、不倫に悩んだ梨花の自殺未遂騒動を始め、各人の持つ様々なトラブルが浮上。
梨花の不倫相手は担任の酒田って先生だった。しかも、娘もいた。
そして達哉と瞳は婚約をし、皆から認められたと思ったのだが親から猛反発された。
特に瞳の父親は大反対している。
「まだガキだろう?どうやって養うんだ?」
「絶対に幸せにします!」
「無理だ!」
結婚は暗礁に乗り上げる。
その直後に中学の頃、達哉と光夫が瞳を巡って争ったことがあるということを梨花は知った。
「アルバム見たいな?」
瞳は達哉の家に来て言った。
「アルバムならないよ」
「どうして?」
「嫌なことを思い出すから」
「君がツラかったのは知ってる。でも、ウチらがいるじゃん?もう、忘れちゃいな?」
達哉は瞳をキュッと抱きしめた。
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