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この辺までの情報はよく知られていることと思う。
ただ、さっきも言ったように、ゾンビにも2種類居るのだ。
ゾンビの2種類目は、僕のように人間だった時の記憶と知性を忘れていないゾンビ。
心臓はほとんど止まり、人肉への憧憬にも似た本能的な摂取欲を持ち、皮膚は少しずつ腐臭を放ち、体を欠損してもそこが頭部じゃない限り動きを止めることもないのだけど、視力もあり、自分の頬肉も――だいたいは――食べたりしていない。
肉体的には死んでいる状態に近いためか、動きの速さについては人間よりも少々……いや、結構劣るのだけど、その分リミッターが外れたように力が強い。それに僕たちはお互いに日本語によるコミュニケーションも出来るし、文字も書けるし、音や食欲に対する本能的な欲求にも、理性で対抗することが出来た。
僕ら「知性あるゾンビ」は、お互いの事を普通のゾンビと区別するために「レヴナント」と呼び、少人数のコミュニティを作って生活している。
僕たちがなぜゾンビにならずにレヴナントになったのかはよく分かっていないけど、このコミュニティのまとめ役をしている、元大学教授の田中先生の見解によれば、何らかの抗ウィルス作用があるDNAを持っている人なのではないかと言う事だった。
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