第二章 雪泥鴻爪

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 ゆるい刺激と急いた刺激を交互に与えられる。潤は腰の奥で生じる引き攣りに善がり耐えながら、大胆に晒された秘部に顔をすりつけるようにして淫蜜を貪る男の頭を見下ろした。初めて肌を合わせる男が、まだ洗っていない部分をなんの躊躇もなく味わっている。  夫との最初は当然のようにシャワーを浴びた。まだ恋人だったころ、彼がひとりで暮らすマンションの部屋の風呂場で、不安と期待を持て余しながら入念に流したことを覚えている。  これまでシャワーを後回しにするほど性急に求められることがなかったわけではない。だが片手で数えるほどしかないし、結婚して一緒に住むようになってからは一度もなかった。  ふいに肉芽が強く吸われ、全身に広がる痺れに追い立てられた。びく、と腰が跳ねる。反射的に閉じようと力んだ脚は容赦なく左右に固められ、起爆剤と化した陰核を集中的に攻められる。くぐもった唸り声と荒い吐息が藤田の昂りを示し、潤は呼応するように高く鳴いた。
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