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「生徒からの頂きものですが、たくさんあって僕ひとりでは食べきれないので手伝ってくれませんか」
「あ……はい」
「見知らぬ人の手作りが嫌でなければ」
「大丈夫です」
「そう、よかった。僕もひとつ食べましたがおいしかったですよ。お母さんと一緒に作ったそうです」
母――その言葉に記憶を呼び起こされる。よく菓子折りを持たされて習い事の教室に行ったことを思い出す。
近づいてきた藤田がそれを差し出した。ピンクのリボンが可愛らしい。両手でそっと受け取ると、彼はわずかに口角を上げた。
「少し早いクリスマスです」
「あ……そうですね。クリスマス」
すっかり忘れていた冬のイベント。自分にはもう縁遠いものに感じる。潤は必死に笑顔を繕い、礼を言った。
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