第三章 一日千秋

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『あなたも……』  どのような意味をもつのか、その言葉にますます混乱させられる。たまらずショーツから手を引き抜こうとしたとき、さらに藤田が言った。 『触れているのですか。ご自身に』 「……っ」  息が止まりそうになった。あなたも、とは紛れもなく彼もそうだと示している。彼も、彼自身に触れているというのか。 「昭俊さん、も」 『うん。潤さんも?』 「は、い」 『よかった。違っていたら、僕はただの変質者ですね』  その穏やかな口調に笑いを誘われ潤が小さく噴き出すと、安堵したような吐息が聞こえ、一瞬の沈黙が漂った。 『あの夜の続きを』  藤田は欲望を隠さない低い声で言うと、最後に喘ぎに似た息を吐いた。その色っぽい呼気が潤に自慰を再開させた。
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