第三章 一日千秋

38/112
前へ
/391ページ
次へ
「昭俊さ……っ」 『うっ、ん』 「昭俊さんは……どうなって、ますか」  あの夜に見られなかった、濃灰色の下着を内から押し上げる猛り。その正体を想像しながらはしたない好奇心を口にする。恥じらいはどこかへ消えてしまった。  それは藤田も同じようで、答える声には戸惑いがない。 『熱いです。身体が浮くような、感覚で……あぁ、うっ……』  小さな呻き声のあと、深く吐き出された息の音。 『はやく……っ、たい』  途中で声が途切れても、彼がなにを望んでいるか潤にはわかった。自身の中にも同様の気持ちが湧き上がっている。  生身の彼自身はその大きな手のひらに包まれ、熟知した手つきで上下に扱かれ、ひどく硬質な熱塊となって天を向いているのだろう。その先端が目指すのはこの身体の奥深くにある秘密の場所。迎え入れる準備は整っている。
/391ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2035人が本棚に入れています
本棚に追加