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その話に感心して頷く潤に、藤田は肩をすくめて苦笑した。
「人によっては、僕のやり方はちょっと面倒くさいと思うかもしれません」
「そんなことありません。大切な時間だと思います」
「ははは、ありがとう。幸い子供たちにも受け入れてもらえています。自分を見つめ直せるとか、疲れた心が癒されるなんて大人びたことを言う子もいますよ」
「ふふっ」
思わず肩を震わせて笑うと、おのずと緊張がほぐれていった。
「では書いてみましょうか」
「はい」
ついに、筆を手にして字を書くときが来た。
半紙の表面を触って、よりなめらかな質感のほうを表にして下敷きの上に置く。紙の上部に文鎮を乗せれば準備完了だ。
「なにか書きたい字はありますか」
「書きたい字。ええと……」
「なんでもいいですよ。なければこちらで指定します」
「んん……」
そっとまぶたを下ろし、わずかに首をかしげて考える。静かで暗い視界の中、ある四字熟語が白く浮かび上がり、はっと目を開けて隣に顔を向けた。
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