第三章 一日千秋

101/112
前へ
/391ページ
次へ
「綺麗にしてあげる」  艶やかな声ののち、薄い布を隔てた手淫が始まった。  左手で根元を圧迫しながらハンカチを持つ右手で拭きあげる。ときおりねじるような動きを加えたり、不意打ちでふたつの垂れ袋をまさぐったり、美代子はあきらかに愉しんでいる。  それはもはや拷問だった。張りついた濡れ布の下に透けて見える赤黒い怒張は、ぬめる女襞に直接包まれたいと脈動する。腹の底からせり上がってくる邪淫な興奮が切迫した声をあげさせる。 「なあっ……もういいだろ」  その手首を掴んでも、美代子はわずかに首をかしげて笑みを浮かべるだけで手を止めない。それどころか上下する動きを速めた。  射精衝動が皮肉にも駆け上がってくる。おもわず小さく呻いたそのとき、ハンカチがぺらりと剥がされた。
/391ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2035人が本棚に入れています
本棚に追加