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もし、あのふたりの行為がその目的を孕んでいたとしたら――。
「うっ……」
ふいに吐き気を覚え、潤は両腕で腹部を抱きながら道端にしゃがみ込んだ。
ひとけのない通りは静まり返り、自身の咳き込む音と荒い息だけが響く。嘔吐には至らなかったが、胸が焼けただれたような不快感が残っている。何度も深呼吸をして息を整えると、滲む涙をひと拭いしてため息をついた。
責める資格はないのかもしれない。ほかに目を向けたのは自分も同じだ。そう思うと、おのずと藤田の顔が浮かんだ。
それまで胸の奥で滞っていたなにかが、すさまじい濁流となって溢れ出てくるのを感じた。
――先生……昭俊さん……。
心の中で呼びかければ、ついに涙は堰を切ったように流れはじめた。
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