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ごつごつした指に白い泡がまとわりつきはじめたころ、彼はタオルをこすり合せる手を止めた。
「では腕から」
そのひとことに返事をすることも頷くこともできずにいると、右肩にそっとタオルが押し当てられた。そこをくるりとひと回りした麻のしゃりとした肌触りは、二の腕を滑り、肘の曲がりまで下りて、腕の裏側に移る。
脇腹に硬い指の関節が当たり、潤は小さく肩を震わせた。撫でられたわけでもないのに敏感に反応してしまう自分を恥じて、きつくまぶたを閉じる。
そんな女の後ろ姿を目にしてどのように感じているのか、無言の藤田は左腕を同じように洗うと、「次は背中を」とだけ言った。
左腕を掴まれ、背を優しくこすられる。ここちよい摩擦感と、腕を支える手のひらの熱さ、ときおり聞こえてくる吐息。じわじわとした痺れが頭の中に広がる。
瞬間、腰のくびれに彼の指が直接触れ、潤はふたたび震えた。親指だろうか。タオルが動くたびに、それも皮膚を圧しながら這う。
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