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悩ましげに呻いた藤田は、ひと呼吸置いて言った。
「今はまずい」
その神妙な声に心を折られる。潤が悄然として見つめると、彼は困ったような笑みを返した。
「このまま始めたら、今日は一日中ベッドで過ごすことになりますよ」
「えっ」
「いいですか」
雄の香りを漂わせてにじり寄る凛々しい顔。そのまま甘美な空気に惑わされそうになったが、鼻先がかすかに触れ合ったとき、潤はようやく我に返り顔を背けた。
「だ、だめです。だって、今日は……」
「そうですね。今日は大事な個展の打ち合わせです。あなたにも一緒に来てもらいたいので、ベッドから出られないと困るでしょう」
うまく丸め込まれた気分になり押し黙ると、あやすように髪を撫でられた。
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